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  ここは「大腸・肛門、そして骨盤底の疾患」に特化した、ウェブ情報サイトです。大学病院でのスモールレクチャーに基づいて作られました。
  スモールレクチャーとは、学生や研修医に対してベッドサイドやカンファレンス室で行われる、臨床に即した小規模の講義で、自由な雰囲気で行われるものです。

大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル51

【打撃フォームを変えるにも等しいこと】

今までやっていたことを今までどおりにすることは、そこそこの技術(といっても、専門的な技術でこれをマスターするのは大変なことです)を持っていれば出来ることです。これが出来てこそ、専門医です。

しかし、良いとはわかっていても、今までのスタイルを変えることは大変なことです。たとえば、打撃フォームを変えたために、スランプに陥る野球選手やゴルフ選手はよく目にするところです。新しい方法を導入するとは、医者にとって、野球選手が打撃フォームを変えるにも等しいのです。

でも、常に新しいことを導入し続けなければ、野球であればダメなバッターになることを意味しますし、専門医であれば、名ばかりの専門医であることを意味します。

 

新しい技術をスムーズに導入すること。

 

新しい技術をスムーズに導入すること。これは普段どおりのことを普段どおりにつつがなく行うということとは、別の次元の技術です。これは、誰にも彼にも要求すべきものではありません。

医療では、患者さんの目の前に今いるお医者さんに、安全性が要求されるわけですから。完全には選べないのですから。

 

では、一歩進んで、話し変わって、さて、新しい技術を開発するには、どのようなことが必要でしょうか。

医学生と若い医者のこのような質問に答えなければいけないのですが、本当のところはわかりません。

ただし、言えることは、若い医師は、職人のように、一人前を目指して努力し、次に、一流を目指して努力し、その過程で、工夫をかさねる。これはまじめな医師なら誰でもそうです。でも、新しいことを開発する人は少ない。

しかし、結果として、開発成功の経過で、さらに別の次元の技術を手に入れていることは確かです。職人がそうであるように、一流のさらに上を行く技術が手に入るのは確実です。

 

現代では、医術は、魔術ではなく、科学です。(これは、正しい)。科学とは、誰がやっても同じ結果になることだと、医学教育では教わります。(これも一部正しい。)論文でも、方法をしっかりと記述し、誰がやっても、診断や治療が同じようになるように書きます、私もそのように書きます。

しかし、本当はうそです。誰でも、これはうそだと知っています。料理に、旨い、下手はあります。大工だってそうです。絵も字もそうです。音楽の演奏もそうです。ほとんど生まれつき、ひとは、身のこなしが違います。器用な人なら、苦もなくできることが、そうでない人にはできないことは良くあります。

よく、症例を何例以上経験しているからすばらしいと、病院評価や医者評価をしている新聞を見ます。ある程度は正しい。しかし、みんな知っていることですが、本当はそれだけではうそになります。

器用なやつは器用だし、そうでない人はそうでないのです。でも、そのようなことを誰も言い出せません。不思議です。でも、誰でも知っていることです。

20年草野球をしていても、その人が大打者でないことは、確かなことです。


【the web 大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル】


  大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャルの目次
001 このフェブサイトについて
002  なぜ、大腸・肛門・骨盤底の疾患に特化したホームページを作ろうとしたのか?
003  大腸ポリーがありますよ、といわれたら
004  大腸がんの話
005  22歳女性の肛門癌
006  大腸癌の危険率、そして、検診の確認の甘い罠
007  直腸カルチノイド
008  直腸カルチノイドの怪
009  潰瘍性大腸炎と大腸癌
009-2  潰瘍性大腸炎に大腸がんができやすいの?本当なの?
 010  クローン病
 010-2  大腸クローン病
 011  虚血性腸炎
 011-1  虚血性腸炎
 012  薬剤性腸炎=出血性腸炎
 013  抗生物質による偽膜性腸炎
 014   しばらく、感染性腸炎の話をします。
 015  O157腸炎 (O157大腸炎)
 016 トラベラーズ腸炎
 017  ノロウイルス腸炎
 017-2  胃は吐くために進化した臓器である
 018  MRSA腸炎
 019  骨盤炎 ダグラス窩膿瘍
 020  放射線性腸炎
 021  恐るべし、放射線治療後の膀胱
 022  閉塞性大腸炎
 023  腸閉塞と例え話あるいは、例え話の閉塞状況
 024  急性虫垂炎の24歳の女性
025   シマウマのような12歳の少女の虫垂炎
 026  卵巣がんのダグラス氏窩転移
 027  過敏性大腸症
 028  偽性腸閉塞症
 029  慢性便秘
 029-2 便秘ですか
 029-3
 大腸は便秘するためにある。
 030  巨大結腸症とS状結腸過長症
 031  肛門病スペシャル
 032
 肛門病スペシャルの名にふさわしい、ザ裂肛
 033  内痔核 その対称性の乱れ
 034  痔と直腸癌
 035  内痔核の話を続けましょう。
 036  痔と直腸癌 痔という病気
 037
 直腸異物
 038  肛門管の話を続けましょう
 039  内痔核の分類  Goligher分類
 040  骨盤底筋群ということばが好きな理由
 041  陰部神経のドグマ
 042  陰部神経の新しい検査法の開発には理由がある
 043  陰部神経潜時測定で何がわかったのか
 044  肛門を評価する(1)マノメトリーという准基本検査の罠
 045 肛門を評価する(2)デフェコグラフィー
 Defecography 排便造影)について
 046 肛門の“8の字ダンス”
 047  ポリープをとってほしかった
 048  大腸ポリープに対する切除法 blood patch EMRという方法
 049
 別稿 大腸ポリープに対する安全な新しいポリペクトミー(EMR)の方法
 050  診療の秘訣 ブラッドパッチEMR
 051 打撃フォームを変えるにも等しいこと
 052  欠番
 053  消化器外科医の実力
 054  新聞や雑誌に載る「病院の実力」の意味するもの
 055  セカンドオピニオン ブルース
 056 セカンドオピニオン 異聞
 057  不信感という時代のキーワード
 058  そう説明してくれればわかります
 059  セカンドオピニオン異聞 裏の裏
 060  文系のための医学誌
 061  包茎は手術するべきか、受けるべきか。わたしの裏技手術
 062  太ることと大腸癌
 063 さいたま新開橋クリニック
 064   直腸癌は疫学的に異なるカテゴリーに属する
 065  大腸癌の原因は肉食???本当に本当なの?
 066  盲腸ポート
 067  最善を尽くしましょうと請け負っていた外科医が
 068  病気が顔を変える