この章では、私が開発した、大腸癌、直腸癌や肛門病の手術のための手術器具を紹介します。

直腸癌の手術や肛門の手術は、狭くて深い骨盤や肛門の中で手術しなければならないので、いかに照明を得るか、ということが、とても大切になります。時として、それが命の分かれ目になることがあります。

しかし、いままで、そのような目的にあうよい手術器具はありませんでした。そこで、開発したのが、電気メス・ライトガイドです。下の写真が電気メスと電気メスライトガイドです。



今日の直腸癌の手術では電気メスを多用するのですが、電気メスで切開や凝固させる大切な部位を十分に照らし、確認しながら、繊細に手術するための器具です。この器具の登場によって、より繊細な直腸癌手術が可能となりました。

電気メスの先から、光が出るだけの、簡単な仕組みの器具ですが、今までの大腸外科の先生方が作らなかったのが不思議なくらいです。（鉛筆のお尻に消しゴムをつけたのと同じ位簡単な発明ですが、、、。）今では、私には、この電気メス・ライトガイドなしに手術することは想像できません。電気メス・ライトガイドがないとストレスがかかって、やり切れません。

なお、この製造、販売は、スターメディカル株式会社が、行っています。肛門内圧測定器具の開発でも日本のトップメーカーです。　
連絡先は、E-mail: star@starmedical.co.jp

これは、実際の直腸癌の手術で電気メス・ライトガイドを使っているところです。穴倉のような奥まったところを効率よく照らしているのが分ると思います。


なお、この電気メス・ライトガイドは肛門手術や直腸癌手術だけではなく、小さな傷で手術する乳癌の手術などにも有用であることを、2006年7月の日本乳癌学会で報告しました。

―目次―
扉の言葉
第1章　直腸がんを治し人工肛門を避ける（大腸がんの説明）
第2章　人工肛門をなくす手術が開発されるまで
第3章　人工肛門をなくす手術の概略
第4章　人工肛門のない生活
第5章　文献紹介
第6章　自己紹介に代えて
第7章　すでに人工肛門を付けている方へ
第8章　質問に答えて
第9章　番外編　直腸癌のために開発した手術器具の紹介
第10章　番外編　大腸ポリープの内視鏡治療のために開発したポリペクトミーの方法第8章　質問に答えて