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新肛門手術について
直腸がんや肛門がんでも人工肛門(ストーマ)にならない方法があります。
第8章 質問に答えて (しばしば、更新をしています。部分的には、書かれた当時の文章を残しています.) このホームページを公開したのが、2002年の7月ごろでした. 自治医大病院で使う「新肛門手術の術前説明用パンフレット」製作のために文章を書き始めたのですが、インターネットで公開したほうが利用しやすいというアドヴァイスがあり、ホームページに作り変えたものです. 現在は、1日に50人から100人の方がこのサイトを訪れています. 2003年7月以来の2ヶ月半で、20人以上の(もっと多かったかもしれません)方から電話およびメイルによる問い合わせがありました。まさに、北は北海道から南は九州まで、です.(2003年9月に記述) その後も問い合わせは多く、南は、沖縄県まで伸びました(2005年4月).現在では、わたしの入院患者さんの8割ぐらいが病院の診療圏外からの患者さんです(2005年10月15日現在) また、メールによる問い合わせも多く、ご返事をあわせると、1年6ヶ月で350回ほどのメール通信が記録されていました.(2004年12月25日現在) そして実際、私のもとで手術を受けられた方は、新肛門手術だけでなく、通常の直腸癌の手術を受けに遠隔地から(一般的にいえば、私どものほうが遠隔地なのですが)来られた人を含めると、1ヶ月に平均2.5人ぐらいの方が、遠くから足を運んで手術を受けに来ております。それ以外にもちろん地元の方もいらっしゃいます。(現在では、1ヶ月に平均 5人ほどのかたが新しく手術を受けに遠方から来ております。2005年4月現在)(このごろでは、遠方からの患者さんの増加で手術待ちがにおきないように手術日の細かな調整が必要になってきました。2006年3月19日) 連絡された方は、患者さん本人であったり、その夫や妻や子供、兄弟、また、母親であったり、さまざまでした.手術後 半年たった親類の女性を心配した甥から連絡をいただいたこともありました.(シカゴから、父親の相談を持ちかけてきたアメリカ人の娘さんもいらっしゃいました.フランスで手術したが経過の良くないアメリカ人の方もいました.パキスタンからアラビア文字の入ったメールで現在手術の日程を相談している方もおります。〔2006年5月現在〕) 多くは、直腸がんと診断されて間もない時期で,動揺している頃であり、入院中の病院から手術前日に電話された方も何人かいらっしゃいました.(電話をいただくことはまったく苦になりません.気後れすることなく、電話をいただきたいと思います.)また、人工肛門をつけられて何年もたった方、20歳代から80歳代まで、北海道から沖縄県まで、手術した患者さんも広がりました。2006年2月17日現在で、22都道府県に広がっていました。 電話でお話したり、直接、診察室でお話したりしているうちに、同じような質問が多いことに気づき、このサイトの不備な点や新肛門手術に関しての誤解しやすい事項がわかってきました. この章では、Q&Aという形で、多かった質問や誤解しがちな点について、説明を加えたいと思います. Q&A Q1 だれでも手術をしてもらえるのですか.(多くの方からの質問) A1 はい.適応と希望があれば、誰にでもおこないます. Q2 Dr佐藤以外に同じ手術をしている病院はありますか.(大阪、福岡、その他の方からの質問) A2 残念ながら、現在のところ私以外に手術のできる外科医はおりません.将来は、国内外に手術できる外科医が現れると嬉しいのですが、消化器外科医にとっても形成外科医にとっても、きわめて特殊な手術ですので、まだ、追随者が現れていないのが現状です.私自身、多数の動物実験と何回もの遺体での模擬手術を経て初めて、臨床応用できた経緯があります. しかし、外科医からの問い合わせや、ビデオの閲覧の依頼は、時々ありますので、新しい胎動はある、と申しておきましょう. (知った理由は明かせないのですが、フランスのある病院のチームが、この手術の解剖学的な研究報告をアメリカの雑誌に投稿中であるという確かな情報があります。この論文は2005年11月に出版されました。それを受けて、現在、この手術をすこし改善させました。) (また、アメリカのある大学の形成外科の教授から直接、この手術をする時の注意点があったら教えてほしいという連絡も入りましたので、いろいろな動きはあるようです。)) Q3 この新肛門の医療に健康保険はきくのでしょうか.(これは、神奈川、宮城、東京の方から質問されました.(お住まいが不明の方からも同様の質問がありました。))このごろ、特に、こ来院した患者さんからたくさんこの質問を受けるようになりました。 A3 保険はききます. 現在のところ、この手術法に直接合致する保険点数は設定されておりません.それは、「新肛門」という治療概念が、従来の医療にはなかったからです。(それは今までにもこのサイトで述べてきたとおりです。)しかし、直腸癌に対する手術とそれによる医原性の便失禁症に対する手術の2つの手術をおこなっているわけですので、そのような形で、保険請求しています.ですから、「保険はききます」というのが答えになります. 従来からあった単純な便失禁症の手術で保険請求することになるので(これは不正な請求ではありません.念のため.多くは、痔ろうの手術の後であったり、出産後の括約筋障害であったりしましたが、直腸癌の手術であってもなんら不正な解釈ではありません.)、この高度な手術内容からすれば、きわめて低く評価された保険点数といわざるを得ませんが、現在のところ、私しか出来ない手術法ですので日本中で使う保険点数表にすぐに反映されるとは思えませんし、かと言って、手術料だけを自費診療にして、他を保険診療にする自費と保険の混合診療は、現在の日本では認められていませんので、まあ、しばらくの間は、仕方がないことだろうな、と思っています.(「混合診療の禁止は法的に根拠がない」と裁判で判決が出ましたので近い将来は、混合診療という形で行うかもしれません) 保険を使った上で、それでも高額になる自費分には、一般的に高額医療制度というものが使えますので、現実に患者さんが支払う費用は、1ヶ月当たり、上限で8万円ほどではないかと思います. 一方、保険をきかせないでいっそのこと自由診療でビジネス色を濃くしてやっていかないかという提案をされる方もいます.アメリカだったら議論の余地なく、そうするだろうという意見です。 とにかく、現在、保険診療の範囲内で治療を行なっています。 ただし、他の病院ですでに肛門が切除され人工肛門になった方への新肛門の手術は、近い将来、自費治療にすることを検討しています。かかる手間に比較して、保険点数が低く、赤字部門となりかねないためです。もちろん、癌の切除から当院で行う方は(ほとんどがこのような方ですが)従来通り、保険医療の範囲で行っていく所存です。 Q4 クローン病や痔瘻の手術後にもこの手術をおこなえますか.(これは、東京と関西地方と新潟の方から質問されました.)ヒルシュスプルング病の術後の便失禁にもこの手術はつかえますか.(関西とお住まいのわからない方とから) 二分脊椎にも使えますか.(お二人の方から) A4 使えます。どのような病気であれ、肛門が切除されてしまった方には、この手術法が考慮されることになります.しかし、まだ、肛門が残っている方では、もう少し、簡単な別の手術や治療で何とか肛門を残す努力をしたいと思います.そのような方も、ご連絡ください.勿論、肛門を残した方にもこの手術は可能です。 Q5 もう、すでに直腸癌の手術がなされていて人工肛門をつけている人にもこの手術法は可能ですか.(これは、東京の方と住所不明の方とサンフランシスコの方から質問されました.その後も埼玉、東京、千葉その他多くの方から) A5 可能です.可能ですが、当然合計で1回手術回数が増えてしまいますので、出来れば最初におこなう癌の切除術のときから、新肛門を作ることを計画して手術した方が良いです.術後の機能を考えても、最初から手術をさせていただいた方が良い結果になると思います。 Q6 しかし、既に何年も前に直腸癌の手術がなされ、何年も人工肛門をつけている人にはもう、新肛門の手術は無理なのでしょうか。 A6 既に人工肛門をつけている方を対象に新肛門を作る手術も、2005年4月から開始しました。 どうしても人工肛門から新肛門にかわりたい、という希望のつよいかたの熱意におされるかたちで、新肛門の手術をするようになりました。手術にはいくつかの新しい工夫が必要でした。(これは、第12章で詳しく述べています。)問題は、直腸癌の手術から長い年月がたっている場合に、新肛門を造っても、今までの患者さんと同様の結果が出せるのかどうか、わかっていない点です。理論的には、大丈夫だろうと考えていますが、理論と実際は、まま、異なることがあります。その点を良くご理解ください。 患者さんには、「直腸癌の手術から長期間経過した患者さんへの新肛門手術はまだ臨床結果が出ていない段階だ」、ということを口をすっぱくして伝えてあります。しかし、新肛門手術が、新しい段階に入ったことは事実です。 追記:人工肛門をつけてから10年が経過していても、陰部神経を吻合することは可能でした。テクニック的には、問題なく出来ることがわかりました。また、吻合された陰部神経は4ヶ月目には再生し、新しい括約筋が働き出すことも確認されました。しかし、、最終の臨床結果はまだ出ていないことを申し添えます(2006年02月17日)。一部臨床結果が出ています。まだ、未発表ですが、ストーマと比較して良い結果が出始めています。 Q7 新肛門を作った後、一時的な人工肛門を閉じるまでずっと入院しているのですか.(これは、大阪と東京の方、その他多くの方から質問されました.) A7 いいえ、手術の創が治ったら、退院していただき、必要なときに、再入院して手術を受けることになります.このごろでは、ほとんどの方が術後3週間で退院しています。 Q8 直腸ガンの再発の場合も、新肛門が出来るのでしょうか.(東京と栃木の方から.その後も多くの方から.) A8 理論的には可能です.残存腸管の長さが問題となります. しかし、大事なことは、再発した直腸癌を治すことが何にも代え難い重要なことで、新肛門はその次に大事なことです.そのことを取り違えて、新肛門だけにとらわれては行けません.しかし、しっかり切除できて、治癒の可能性がある場合には、新肛門は十分考えてよい治療選択のひとつとです.直腸ガンは局所再発した場合でも、しっかり切除できれば、十分治癒する可能性のある、病気です. Q9 新肛門を作っても、抗がん剤を使えるのですか。 A9 はい、抗がん剤を使う必要のある方には使っております。抗がん剤の予防投与を行いながら新肛門を再建している患者さんが幾人もおります。また、放射線治療後にもこの手術をおこなっています。第1に、癌の治療が大切です。 Q10 手術前に放射線治療をした人でも、新肛門の手術は可能ですか。 A10 はい、可能です。今までにそのような方はいらっしゃいますし、良い臨床結果が得られてます。しかし、放射線をかけ腹膜炎も合併した方では、膀胱が硬くて膀胱の裏側で腸を通すスペースが作れず、新肛門を断念した方が一人いらっしゃいます。 Q11 先生のところに行くと、肛門が残せるような患者でも、肛門を切除して新肛門を作る手術をされてしまうのですか。 A11 そのようなことはありません。癌の治癒に影響が出なければ、肛門を残すように他の外科医より努力しています。実は、他の病院で人工肛門が必要だといわれて、新肛門手術を希望されてきた患者さんの半数以上が、実は私どものところで行えば、肛門を取る必要のないと考えられる患者さんで、当然、肛門を残して、癌を切除する手術をしました。 また、肛門管癌のなかでも扁平上皮癌に分類されるものは、手術療法ではなく、放射線療法が第1に考えられるべきですから、そのような患者さんは、放射線療法をおこなって、結果的に、手術をせずに、肛門を残す治療をしています。(これはもう20年以上前に結論がついたことだと思うのですが、一般には肛門を取る手術をするところがまだまだあり、実際、肛門をとられそうになって私のところに来た患者さんが、この2年6ヶ月で3名おりました。まれな疾患ですが、大事なことですから、困ったものです。) Q12 近くの病院に出張して手術をしてもらえますか。(千葉と新潟の方から) A12 出張手術は現在、おこなっておりません。以前、ある国立のガン専門病院からこの手術の出張手術の話が持ちあがったことがあったのですが、術後早期は自分の下である程度落ち着くまで見ていたいので、出張手術はよほど条件が整わない限りは考えておりません。 Q13 Dr佐藤の病院から遠いところにすんでいるのですが、手術を受けることは可能でしょうか。今までに手術をした方で遠方からこられた方はどんなところからこられていますか。 A13 現在ほとんどの方が、県外からこられている方ばかりです。 この手術の問い合わせで最も遠くからのものは、アメリカの方が3名でした。(それ以外に陰部神経痛で治療を希望されている方が1名おります。)手術を受けられて方は、日本国内では北海道から沖縄県までです。 新肛門手術による肛門再建術を希望されて来院されても、その手術の適応にならない方には他の手術を施行しております.(新肛門手術を求めて入院治療された方(結果的に違う治療も含む)は、22都道府県に亘ります。)2006年02月17日現在 遠く離れていても、現在の日本では特に問題はないと考えています。 Q14 肛門括約筋の再建には、Dr佐藤の大殿筋を使う方法と、薄筋を使う方法があるようですが、どう違うのですか。(多くの方から質問がありました。) A14 括約筋再建手術には、歴史的に、大殿筋を使う方法と薄筋を使う方法がありました。1920年代のころからの話です。大殿筋は肛門に近いという利点とボリュームが大きいという利点があります。また、薄筋は、薄く平たくて長いという特徴があり、肛門の周りに巻きやすいという利点がありました。しかし、単純にそのどちらの筋も、巻いて括約筋を作っただけでは、肛門括約筋としての働きをしないという欠点があったのです。これは、1970年から1980年のころに決定的に明らかにされました。その反省から、1980年代後半から電気刺激機を埋め込んだ薄筋による括約筋再建術が出現しました。同時に電気刺激機を埋め込んだ大殿筋による括約筋再建術も症例数は少ないのですが行なわれ、ほぼ同等の結果が出ました。大殿筋での症例数が少なかった理由は、おそらく、大殿筋を扱うほうが、手術の難易度が高かったからだと私は思います。 しかし、電気刺激機による括約筋再建術の流れそのものは、頓挫してしまいました。それは、アメリカ合衆国食品医薬品管理局(FDA)がこの器具の保険使用を認可しないと最終的に決定したために、それを受けて電気刺激機の開発メーカーがアメリカと日本での「ビジネス」から退いてしまったからです。(関係者からの私信による)。 しかし、1920年代に戻すわけにはいきません。 私の研究は1990年から始まりました。動物実験と解剖実験により臨床応用を開始したのが1995年ですが、この新肛門手術の特徴は、このウェブサイトでも説明してありますとおり、陰部神経支配の括約筋による肛門括約筋再建です。つまり、生理的に肛門と同じものをつくろうという点です。ですから、大殿筋を使う方法と薄筋を使う方法というような対立構造ではなく、陰部神経支配になっている括約筋とそうではない神経支配の括約筋との比較という対立構造です。 ですから、質問の意味は、すこしだけ、本質から外れています。 とはいえ、大殿筋と薄筋とは形も場所も違います。それぞれの利点欠点もあります。大殿筋が薄筋に較べて文句なく勝っているわけではありません。 実は、2006年から陰部神経支配の薄筋を使った括約筋再建手術も開始しました(未発表データ)。それは、薄筋には薄筋の特徴と利点があるからです。 この陰部神経支配の括約筋再建術(新肛門手術)にとって、大殿筋と薄筋のどちらが勝っているかは、今後、明らかにされなければならないことです。 Q15 2007年からさいたま市で独立されたようですが、大学病院にいた今までと同じように手術をしていかれるのでしょうか。 A15 2007年11月12日より独立開業し、専門性に特化した治療を行っていくつもりです。2008年1月から手術を開始し、直腸癌の手術と新肛門の手術を再開しました。最初の3ヶ月間は、看護師の数も足りず、私自ら、看護師当直をして乗り切りました。多い時は、連夜、「院長ナース」に変身して夜を乗り切りましたが、現在は、もちろん私が看護師の仕事をすることはなくなりました。複数の手術室経験ナース、ICU経験ナース、消化器外科病棟経験ナースなど充実した布陣となっています。 2008年は直腸癌手術を週に1例のペースで行っています。新肛門再建手術も随時行っています。(2015年8月までで新肛門手術症例は100例を超えています) 手術予定が混み合うこともありますが、手術日を柔軟に増やして対応しています。 【この章は少しずつ充実させていきます】
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